テクニカルディレクターによるマニアック技術コラム
このコラムはAZAのテクニカルディレクター 木村 壮平が映像、音響、ネットワークに関する様々な情報発信をしていく記事です。
第6回テーマ
『チャート作成を時短して、ブラッシュアップに時間を使いましょう』
LEDや複数のプロジェクターを使った演出では、一般的な16:9だけでなく、21:9のような横長の画面や、W512×H1280pxのような縦長のLEDディスプレイなど、特殊な解像度を扱う場面が多くあります。
そのたびに、調整用や制作確認用のチャート、テストパターンを用意する必要があります。PhotoshopやIllustratorでゼロから手作業で作成しようとすると、作業時間がかかるうえ、ソフトウェアのライセンスも必要になります。本来であれば、その時間は機材調整やコンテンツのブラッシュアップに充てたいところです。
そこで今回は、チャートやテストパターンを簡単に作成できるサイトや方法を紹介します。Webサイトだけで完結するものも多いため、条件を入力して素早くベースを作り、仕上げに時間を使えるようにしましょう。
Step1:表示機器の大きさや解像度を決める
まずは、使用する表示機器の仕様を整理します。
プロジェクターであれば投影サイズやアスペクト比、ブレンディングの有無、LEDであればパネルサイズやピクセルピッチ、縦横の枚数などを確認し、最終的な表示解像度を決定します。
また、複数面構成や特殊なレイアウトの場合は、この段階で伝送方法もある程度イメージしておくと、その後のチャート作成やマッピング作業がスムーズになります。必要な情報を整理してからチャートを作成することで、手戻りを減らすことができます。
Step2:チャートを作成する
用途によって難易度は異なりますが、チャート作成で使いやすいツールを紹介します。
プロジェクターの調整には
■VIOSO Testpattern Generator
(https://vioso.com/testpattern-generator/)
プロジェクターのブレンディング調整や、任意のピクセル数を入力するだけで、PNGデータを作成できます。


例えば、このようなテストパターンを作成できます。1枚目はインターフェース、2枚目は完成したPNGデータです。
複数プロジェクターなどでブレンディングする場合、オーバーラップ幅やロゴも設定できます。
LEDの調整には
■DVS LED Wall Alignment Generator
(https://dvsgroup.com/tools/LedWallAlignmentGenerator.php)


こちらは主にLED用でパネルのモジュールのピクセルサイズを入れ、縦横枚数を入れれば完成します。各パネルに識別番号などを割り振ることができるためLEDの信号確認やタイリング(並び)の確認がしやすいです。
また他のツールでLED Wall Mapping PlannerというものだとStep3にある伝送方法で4K解像度内に複数面を配置したりすることができます。なお、DVSのロゴは非表示にできません。
シンプルなサイト
■LEDmapper
(http://ledmapper.pl/)


複数面置いた時に座標が自動で表示されるのは便利ですが、キャンバスの大きさが指定できないのは少し使いづらいかも。海外のオペレーターの間で広く利用されています。
LEDから音響、電源まで幅広く使える計算ツール(Calculator)が便利です。
■Patchify
(https://patchify.app/tools/led-test-pattern-generator)


先ほどのDVSのようなLEDのチャート作成からテロップ作成まで色々なものが揃っています。色々なサイトを横断するより全てここでまとめた方が早いかも。元はシステム図を作るようなサイトです。システム図を作るようなサイトは他にもあるのでそれはまた違う機会に。
使いこなせれば非常に強力なツール
■LED FYI
(https://led.fyi/)


無料版は制限がありますがLEDのメーカー、型番、プロセッサーなどを入力し、背面の結線方法なども作れるLED専用ツールです。作ったLEDを3Dでみたり実際に映像を流してみることなども可能です。使いこなせれば非常に強力なツールです。
動きのある映像を流しておきたいときに
■https://pattii-creates.com/tools/colorbar-tool-app/

チャート制作ではないですが便利なツールを一つ紹介します。多くの現場ではプロセッサーやスイッチャーなどでテストパターンが表示できますが、ない場合や他の作業で使っている場合など急な時に便利なテスト信号ページです。
Step3:伝送方法を決める
複数面の信号を4K一枚の中で送りたい場合はチャートを配置する必要が出てきます。具体的にはVIOSOの「LED Wall Mapping Planner」でレイアウトし、LEDプロセッサー側で切り出して配置します。面数分の伝送系統を用意せずに済みますし、機材数を減らすことも可能です。また横に長いLEDの場合などは2段などに並べて配置することも多いです。

まとめ
今回紹介したツールを活用すれば、これまで手作業で作成していたチャートやテストパターンを短時間で用意できるようになります。特にLEDや複数のプロジェクターを使用する複雑なシステムでは、作業時間の短縮だけでなく、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
チャート作成はあくまで準備工程です。そこで時間をかけ過ぎるのではなく、ツールを上手く活用して効率化し、本来注力すべき機材調整やコンテンツのブラッシュアップに時間を使える環境を作ることが重要です。
用途や現場によって最適なツールは異なりますので、ぜひ自分のワークフローに合ったものを見つけて、日々の制作・オペレーションに役立ててみてください。
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