テクニカルディレクターによるマニアック技術コラム
このコラムはAZAのテクニカルディレクター 木村 壮平が映像、音響、ネットワークに関する様々な情報発信をしていく記事です。
第5回テーマ
『機材の保護と効率を支えるカスタムケースの重要性』
AZAでは多くの多種多様な機材が専用のカスタムケースに収納されています。
ケースの役割は単に機材を保護するだけでなく、運搬上の安全性、セットアップの簡略化、熱管理、搬入出のしやすさ、メンテナンスの効率化など、多岐にわたる重要な目的を担っており、奥が深い分野でもあります。
ケース作成の流れ
新規機材の導入をきっかけに始まるケース作成のプロセスは、機材の用途を深く考慮し、以下の三つの観点から構造を検討していきます。
①使いやすさの追求(機能性)
・付属品が多い場合は、収納効率を高めるためドロワー(引き出し)の設置
・2台の機材を重ねて使用することが多い場合の適した構造
・セットアップ時間を短縮するためのパッチコネクターの作成
②運搬上の安全性と理想的な設計(安全性・利便性)
・移動した時に転倒しない、安定した設計
・持ち運び時に怪我や身体への負担にならないような構造
③耐久性・信頼性・色彩(維持管理)
・長期使用によりキャスターのすり減りや故障など耐久性への配慮
【事例】Disguise EX3+のカスタムケース

今回はメディアサーバーであるDisguise EX3+のケース作成を例にご紹介します。
①考慮した要件
この機材の特性から以下の点を重要視しました。
・2台同時使用への対応:メディアサーバーはMAIN機/Backup機と同時に使われるため、2台を安全に重ねられる状態にすること。
・2台を重ねた時に机の足元には入るよう高さを抑えて設計
・サイズと付属品:奥行きが長く、マウスやキーボードなどの付属品も豊富なため、それらをまとめて収納できること。
といった内容でした。
②設計と作成プロセス
これらの要件に基づき、まず簡単なケースのイメージ図を作成します。

その後ケース制作会社さんと、採寸、制作イメージの共有、ケース素材の選定、こだわりたい点などオーダーし、数回の打ち合わせを経てケースが完成しました。


③仕上げと実機確認
完成したケースに実機を入れ、修正点がないか確認します。



・耐衝撃設計:メディアサーバーは運搬時のショックを極力避ける必要があるため、ケースはショックマウント仕様にしています。
・配線効率:実機をマウントし、背面にはパッチパネルも取り付けています。これにより、セットアップ時の配線作業が簡略化されます。
・利便性向上:データの転送を容易にするため、前面にUSBポートを取り付けました。
まとめ
ケースはユーザーの利便性、運搬の安全性、そしてメンテナンス性など様々な視点からのモノづくりが必要とされる分野です。カスタムケースは、現場の安定稼働を支える影の功労者とも言える存在です。
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